恵那市/中山神社のお犬替え(オオカミ)

●中山神社/岐阜県恵那市串原3913


あるとは思ってなくてよく見ていなかったが、蚕霊(「こだま」だろうねぇ)神社があった。


で、この日はお犬替えの例祭。三宝に載せられてお犬様たちご祈祷されるのです。
10月のこの日は様々なお犬様がおいでになるので、調査に行ったというわけでした。(2022年)


参道途中で話しかけて、お犬様を見せてもらう。かごに入って運ばれていたりする。なかなか盛況だった。

ここの場合は、火伏、家内安全、などなど全部包括の家の守護神という感じです。焼いているのは、土岐か瑞浪のようです。


オオカミ班向けデータをアップします。当日、11種類を確認しました。
No.9が現行モデルで、まだある程度の在庫はあるようです。この後はもう作らないと言っていました。だいたい、1モデルで10~20年くらいのようですので、11モデルあるので、100年とか昔のもあるようです。
宮司様が江戸時代のだと言っていたのは、No.4のモデルです。No.11は、豊田市足助町に住んでいる方がもってこられたのですが、先祖代々これを祀っているとのことで、これも相当古いモデルだと思います。

(オオカミ班・下平武)

 


オオカミ班的話題。(2025年)
三遠南信のヤマイヌ信仰の中で、重要な位置を占めるのは、岐阜県恵那市串原の中山神社だ。今回新しい事実がつかめた。中山神社のおイヌ様像の形が多種多様なのは周知の事実だが、これには深~~いわけがあった。形態の編年をしようとしていた自分がバカだった。
基本は、一つお借りして、願が叶ったら二つにしてお返しというのが、江戸期にあったらしい。それが発展して、狐狸関係だが、キツネが落ちたら、数十の数のおイヌ様像を奉納するってのが出てきたらしい。江戸期にもこれはあったようで、バズって流行ったのが昭和初期とか。
だからかぁ~。なので、こんなのも出てくるわけです。こりゃ、おイヌ様には見えません。で、キツネが落ちた人が奉納したものには、プレミアがついたそうで、〇〇さんの奉納したものが欲しい…みたいなご指名もあったんですな。


20年くらい前に、愛知県の瀬戸市の陶磁美術館で、「陶磁のこま犬百面相」という企画展があった。何かのついでに高速を降りて、見に行ったんだが、そこで、中山神社のおイヌ様の陶製こま犬?に出会った。当時はまだ、そこまでおイヌ様信仰にはまっていなかったので、サラッと見ただけ。

この企画展の図録に、「持ち主の名前と違う名前が入っている」中山神社のおイヌ様の顛末が書かれている。その、おイヌ様は江戸期に瀬戸窯で焼かれたことがわかっている。これにも名前が入ってるんだが、美術館に所蔵されているものにも名前が入っている。
入っている名前は「和合村 与右衛門」。当初は、「愛知県東郷町和合」とされていたが、その後の調査で、設楽町津具の同型のおイヌ様に「商木(うるぎ)村 〇〇源兵衛」「新野村 〇〇伊之介」と書かれているものが見つかる。写真を見ると、これ、なんと以前に訪問した津具の生地山だ。

津具から見て新野や売木は隣村に当たるので、交流があって、うわさで売木と新野で狐憑きが落ちた人があったことを知り、中山神社にその落ちた人がお礼に奉納したおイヌ様を所望し、入手して祀っていた。という事です。


この論考には、画像が載っていて、石祠が一致した。学会誌などに載るような正規の論考ではないため、追及はここで終わっているが、20年前には、木地山におイヌ様はあった(んだと思う)。しかし一昨年私が訪ねた時には、二体あったらしいが、盗難にあっていた。これって、20年前なので、その辺が甘かったんだと思うが、展示や図録の論考から、このおイヌ様が「古美術品的価値があるもの」という事がわかり、ネットの情報などから場所を特定し(論考ではにごしてあるが、当時はそれで大丈夫だったと思う。しかし今時は、すぐわかる)、盗んじゃったという事だろう。確かにちゃんと光をあてて、プロが撮ると見事な古美術品。それにしてもマニアは怖いなぁ~~。
(下平)

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